「た」から始まる都々逸
・高砂祝って 誓った初夜が 婆と爺とに なる門出
・出し抜かれては 身は痩せ細る 鰹節では ありゃせまい
・たったふたつの えくばにはまり いまじゃ諸方に 穴だらけ
・たった一度の 注射が効いて こうも逢いたく なるものか
・立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 百合の花
・たとえ姑が 鬼でも蛇でも ぬしを育てた 親じゃもの
・たとえどのよな 風吹くとても よそへなびくな 糸柳
・たとえ泥田の 芹にもさんせ こころ洗えば 根は白い
・たんと売れても 売れない日でも 同じ機嫌の 風車
・玉子酒した 報いか今朝は はやく別れの 鶏が鳴く
・便りあるかと 聞かれる度に 別れましたと 言うつらさ
・玉の輿より 味噌漉し持って つとめ嬉しい 共稼ぎ
・旦那の忘れた 煙管(キセル)で下女の 部屋から火の手が 燃え上がる
・大小差したる 旦那さんよりも 似合うた百姓の 殿が良い
「ち」から始まる都々逸
・猪口々々(チョクチョク)逢う夜を ひとつにまとめ 徳利(トックリ)話が してみたい
・丁と張らんせ もし半出たら わしを売らんせ 吉原へ
・ちらりちらりと 降る雪さえも 積もり積もりて 深くなる
「つ」から始まる都々逸
・積もる話が 仰山おすえ それに今夜は 雪どすえ
・積もる思いに いつしか門の 雪が隠した 下駄の跡
・つとめする身は 田ごとの月よ どこへまことが 映るやら
・つとめする身と お庭の灯篭 晩にゃ誰(た)が来て とぼすやら
・月に村雲 花には嵐 思うお方は 女房持ち
・つねりゃ紫 喰いつきゃ紅よ 色で固めた この体
・面の憎さよ あのきりぎりす 思い切れ切れ 切れと鳴く
「て」から始まる都々逸
・手に手をつくした おもとが枯れて ちょいと挿した柳に 芽がふいた
・出会いがしらに 頭と頭 ア痛かったと 目に涙
・欄干(てすり)に もたれて化粧の水を どこに捨てよか 虫の声
・出来たようだと 心で察し 尻に手をやる 燗徳利
「と」から始まる都々逸
・どこで借りたと 心も蛇の目 傘の出どこを きいてみる
・どうせ互いの 身は錆び刀 切るに切られぬ くされ縁
・泥水上がりじゃ 世帯は持てぬ 朝寝浮気に 茶碗酒
・土手の芝 人に踏まれて 一度は枯れる 露の情けで よみがえる
0 件のコメント:
コメントを投稿